FTSSIが提案する
「トレーサビリティ・システムの相互運用について」
1.トレーサビリティにおける共通の課題(1)
「農場から食卓まで」の食品流通全過程で、各種履歴情報を食品とリンクさせるトレーサビリティシステムは、業界全体として消費者に「安心」を提供するものでなければならない。農林水産業、食品加工・流通業に携わる企業・団体や個人、および一般消費者において「トレーサビリティ」という用語は概ね定着した感がある。しかし、その意味・意義については、未だ正しく理解されていないところも多く、実際の普及に至っては、食品業界全体でみるとやっと第1歩を踏み出した段階に過ぎない。
ただし、第1歩と言っても、品目や生産者団体、流通事業者、システムベンダー毎に、それぞれ独自のトレーサビリティシステムが開発・導入されているのが現状である。各プレーヤーの独自性と初期段階での積極的な取り組み姿勢は高く評価できるが、今後、様々な品目や流通経路等に導入が進められる状況を想定した場合、異なる産地・品目・業態等のなかで使用されるトレーサビリティシステムには、相互運用性の確保あるいは一定の標準化が要求されることは明らかである。
そのためには、それぞれの品目を扱う業界において、トレーサビリティのための取り組みに一定の共通性・互換制があることが求められる。具体的には、各対象品目におけるトレーサビリティの識別単位、記録すべき基本的な項目、記録の保存期間等について最低限の共通性・相互運用性が望まれてくる。
これは、一般の消費者が品目毎に、あるいはシステム毎に異なる手続きや操作で生産履歴や流通履歴を入手する煩雑さを軽減するだけでなく、生産者や流通事業者にとっても、システム開発や運用のコスト削減、業務の標準化による効率化が期待できる等、トレーサビリティの普及段階において必要不可欠な要件と考えられる。 |
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図1.トレーサビリティ・システムの普及に向けた取り組み |
食品トレーサビリティシステム標準化推進協議会
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